天の川、スカイフィッシュの釣り堀にて

安眠妨害水族館では書かないこと、書けないこと

「ピッチが甘い」

随分前の話なのだけれど、質問箱にいただいたこの質問。

CDレビューを続けていれば、「音程を外しているのが残念」なんてことを書く機会も出てきてしまう。

ただし、この質問のとおり、その音程が正しいかどうかなんて、本当はメロディをつけた本人しかわからないものだ。

 

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それでも、初めて聴いた楽曲なのに"音を外したな"と思ってしまうことは確かにある。

歌が下手な人とカラオケに行ったときに、"この曲は知らないけど、多分音を外してるのだろうな"と感じた経験は誰にでもあるだろう。

音楽的なあれこれを検証している、なんてことはなく、そんな感覚で書いているというのが実態だ。

一応、Twitter上では、「コードに対して音が合っていない(かつ必然性を感じない)」場合と回答している。

 

もちろん、実際は意図的なスケールアウトだったのかもしれないし、もしかしたらボーカルラインは正確なのにバックのフレーズが外しているという可能性がないわけでもない。

一方で、それを検証する術を我々リスナーは生憎持ち合わせていない。

それが聞き手側の理解不足だったとしても、"味になっていない"とか、"聴きにくさになっている"と感じてしまったのであれば、「音程を外しているのが残念」という言葉に置き換えるのがもっともわかりやすい感想であると割り切っているので、どうかご理解いただきたい。

 

ただ、自分が好きなアーティストが、意図的に王道ではないメロディを乗せていることについて、「音程を外しているのが残念」と言われてしまうもどかしさも僕は知っている。

中学生の頃からずっと聴いているHysteric Blueの「春~spring~」が、まさにその代表例だからだ。

サビの"こういう夢ならもう一度逢いたい"の「逢」の部分は、コード進行的には、"ファ"の音に上がるのがセオリーなのだが、正解はひとつ前の「度」と同じ高さの"ミ"。

作曲者のDr.楠瀬氏の強いこだわりなのだとか。

 

ところが、非公式の楽譜やオルゴールなどが、"ファ"の音を採用してしまうなど正しい音程が理解されず、テレビ等で歌うたびに「高音が伸びきっていない」と評価される憂き目にあっていると、Vo.Tamaさんが後にライブで語っている。

この質問者も、僕のレビューでそんな気持ちを味わったのなら、本当に申し訳ない。

気の利いたハズしととるか、セオリーどおりに歌ってくれないと気持ち悪いととるかは個人差があるので、どちらともとれるような場合は、ピッチについて言及するのを極力避けているつもりだし、aikoさんや奥田民生さんレベルの絶妙なハズしを入れてくれるのなら、むしろ、聴きどころとして紹介するのだけれど。

 

改めて頭の中を整理して、こんなことを考えた。

今まで音を外していると切り捨てていた楽曲たちも、それが意図があってのスケールアウトだったと捉えることで、聴こえ方が変わるのでは。

 

これだって、もしかしたら、そういうメロディをつけたのかもしれない。

気持ち悪さの表現として、あるいは、音楽理論を真っ向から否定するパンク精神で…

 

www.youtube.com

 

駄目だ…

何度聴いても、「音程を外しているのが残念」だ…

 

DAS:VASSERは好きだが、それとこれとは話は別。

やっぱり、感覚的にわかる"音を外した"はあると思うのよ。

逆に、これを「個性的な歌メロを乗せて、それを正しく歌いこなしている」なんて解釈したら、この頃のDAS:VASSERの粗削りな勢いを否定することにもなってしまうもの。

 

基準を決めて当てはめるのも、わかりやすさの観点では良いのかもしれない。

それでも、キッチリやるのがいいときもあれば、少し外して癖をつけるぐらいのほうがいいときもあるわけで。

それひっくるめてのセンスなのだから、結局は刺さるか刺さらないか。

音程がネックで僕にはしっくりこなかったな、と思えばそう書くし、率直に言って、それはアーティスト本人にとって正しいかどうかはあまり気にしていない。

なので、月並みな締めくくりになるが、これからも自然体で聴いて、自然体で書いていこうと思う。