天の川、スカイフィッシュの釣り堀にて

安眠妨害水族館では書かないこと、書けないこと

「Pierrot BRAINSTORM」

中高生の頃、僕には"このアーティストが好き"と友達に言い切るための条件がいくつかあった。

もちろん、自分が勝手に作ったルールだし、そこには当てはまらなくたって聴いていた音楽はいくつもあるのだが、"どんな曲を聴いているの?"という、日常会話でよくある質問に回答するために縛りを入れていたのだ。

 

曲が好き、歌詞が好き、といったところは当たり前。

地味に重要なファクターだったのは、「ラジオが面白いこと」。

そもそもラジオ番組を持っていなければいけないので、コア層しか知らないようなインディーズバンドは淘汰され、ある程度認知度が高いところに落ち着く。

また、YouTubeがない時代、そんなに音楽に興味がない友達にとって、CDを貸すよりもラジオ番組を紹介するほうがハマってくれる可能性が高かった。

アーティストのパーソナリティに近い部分が明らかになって愛着が沸くし、そこで語られる楽曲の背景を知って、まるでディープなファンになったような錯覚に陥る。

もともとラジオのヘビーリスナーだった僕。

テレビよりもラジオのほうがアーティストとの距離が近いと信じていた。

(地方に住んでいなければ、ライブがそれになっていた可能性は高いが。)

 

その条件に当てはまって、陶酔したアーティストは3組。

二部から一部に持ち上がって、今でも同番組と縁が深い「T.M.Revolution西川貴教のオールナイトニッポン」のT.M.Revolution

松岡充さんが「Come on FUNKY Lips!」の木曜日を担当していたSOPHIA

そして、キリトさんと潤さんが「UP'S〜Ultra Performer'S radio〜」の木曜枠、「Pierrot BRAINSTORM」を担当していたPIERROTである。

後者ふたつは地元・仙台では放送圏外だったので、ループアンテナを持ちながら家をウロウロしてなんとか電波を拾って聞いていたのを覚えている。

 

どの番組も思い出深いのだが、今回はテーマを「Pierrot BRAINSTORM」にした手前、PIERROTの話。

ヴィジュアル系バブルの時代だったこともあり、クラスの大半はPIERROTのことを認知していたと思う。

ただし、イメージとしては攻撃的、過激というステレオタイプの印象が先行しており、キャラクターまで捉えられていなかった。

そういう意味ででは、僕もこの番組に出会うまでは、その中のひとりだったのだろう。

 

表向きからも、ヴィジュアル系のタブーをいくつも壊してきた彼ら。

その裏で、ラジオで、BRAINSTORMで、僕の中でヴィジュアル系の概念もガラガラと壊れていく。

キリトさんは落ち着いて淡々と話す口調こそアーティスト然としているのだが、平気で本名をバラしたり、生々しいギャラの話をしたりとやりたい放題。

潤さんは潤さんで、それに狼狽えるわけでもなく掛け合いとして突っ込んで、時々乗っかってくる。

"トークが面白い"=関西ノリの喋りという先入観があった僕にとって、この二人の独特の間合いと笑いのセンス、まさに天才なのでは!

CDのイメージだけで怖い人だと思われたままではもったいない!

と、謎の使命感に燃えてしまうほど、衝撃を受けたのだった。

だって今でも、キリトさんのハンコは名字ではなく"信也"のほうで作られている、という無駄知識が頭から離れないもの。

 

もちろん、番組中に語られる楽曲に込めたメッセージにも、思春期真っ只中の少年には刺さるものが多く、正攻法からも裏口からも心を掴まれたら、そりゃ夢中になるわな。

課外授業でクラスメイトと民宿で一泊したとき、みんなが女子の話や経験人数の話に花を咲かせる中、延々とひとりでPIERROTの世界観の話をすることになるわな。

従妹のハルカちゃんの誕生日にシングル「ハルカ…/カナタヘ…」がリリースされて、妙な嫉妬心を覚えることになるわな。

 

後悔しているのは、そのときにライブに行くタイミングがなく、未だにPIERROTとしてのライブを見ることができていないこと。

今度の丘戦争にも、戦力として現場に出向くことは出来なそう。

まぁ、こんな徳を積めていない信者でも、"どちらの丘派か?"と聞かれたら、迷わずメギド派ですよ、と答えるぐらいにはラジオの影響力って僕にとっては大きかったんだということで。

 

ちなみに、BRAINSTORMで一番好きだったのは「ブーラーのターレー」。

業界用語を使ってファンレターを書く、というそれだけのくだらない企画だったのだが、そのときに生まれた「しわけないもう(申し訳ない」というフレーズは、未だに使ってしまいそうになる。

今回の「は行」のテーマ、実は直前まで「ブーラーのターレー」にするつもりだったのだが、文章を業界用語風にしなければいけない気がしてきて断念。

読みにくいことこのうえないので、安直に番組タイトルにさせていただきました。

しわけないもう。