天の川、スカイフィッシュの釣り堀にて

安眠妨害水族館では書かないこと、書けないこと

「Gomi Visual-kei Collection 2017」

安眠妨害水族館では書かないこと、書けないことを書くのが、このブログ。

なので、誰かが作った"マイベストCD"のレビューだってできてしまうのだ。

そもそも、誰かが布教用にお気に入りの曲をピックアップして焼いたCDRを、1枚の作品としてレビューする人なんて、まずいない。

だからこそ、やってみようというのが今日の記事。

その生贄は、むらかみさんにいただいた「Gomi Visual-kei Collection 2017」だ。

 

カルトV系DJ(強引にそれっぽく肩書を付けた)むらかみさんが、その真価を発揮するコンピレーション。

DJイベントで使用した素材をまとめ、オフ会などで配布するという、言ってしまえば内輪企画用のCDRなのだが、仲間内では非常に好評でシリーズ化しており、最近2017年バージョンをいただいたばかり。

ちょうどよい機会だと思うので、感想をつらつらと書いてみたいと思う。

 

タイトルからわかるとおり、玉石混交のV系シーンの中で、石の部分ばかりを浚った作品。

"Gomi"という言葉には、貶し愛的な情熱が込められており、必ずしも"Gomi=嫌い"ではないと僕は理解している。

ネームバリューや世間的な評価に左右されず、彼の定義するカルトV系を見出すことだけを追求しているむらかみさんのスタンスには、いつも頭が下がる思いだ。

2017というタイトルではあるが、あくまでまとめたのが2017年という意味であり、選ばれた楽曲は2004年~2015年と幅広く網羅されていた。

詳細については、ご本人がライナーノーツを書いているので、そちらをご参照。

 

1. 貴方の隣は私の夢 / Fi'Ance.

The Valentineや篠突く雨のメンバーが在籍していたFi'Ance.。

雰囲気を作って耽美なイメージを持たせつつ、メロディは甘々のポップ。

声質がハマっていないのか、演奏面で世界観を作りすぎたのか、歌が入ったところで何かが決壊。

1曲目から、インパクトは抜群である。

 

2. ハッピーラッキーデイズ / Plus Magic

こちらは、サウンド的にも割り切って甘々ポップを徹底。

そういう意味での違和感はないのだが、純粋に甘すぎる歌詞は、どの層に向けてアピールしていきたかったのだろうか。

オサレポップ全盛期のゼロ年代ならともかく、2014年時点では、個性化と出るか、オワコンと出るかは博打だったと思われる。

 

3. スターグライド / エレキ隊

コズミックコミックバンド、というコピーのもと登場した彼ら。

立ち振る舞いも、音楽性的にも、V系だけでがっつりというわけではなかったのかな。

サポートベースで、GalapagosSや東京ヒーローズなどで活動していたゴキミさんが参加。

ストレートなパンクチューンで、強引に例えるならk@mikazeなんかのイメージ。

楽曲構成やスキルでズッコケるという感じではないが、異色すぎるということでのノミネートか。

 

4. スウィート / Anetto

ようやく、V系の王道的な楽曲がやってきた。

楽曲としては、なかなか好み。

しかしながら、Bメロに入ったあたりから、バックの演奏とボーカルのピッチに距離感が出てくる崩壊の美学。

レコーディングのノウハウや経験が乏しかったのか。

ボーカルさえ本来の音程で歌えていれば、ここにいるべき楽曲ではないはず。

 

5. scene / Christfer.T.S.Lagna

懐かしいような、そんなこともないような。

V系界隈のマイナーソロアーティストにありがちなサウンドプロダクション。

要するに、狙いではないチープで軽いサウンドが、楽曲をカルトにしているタイプ。

世界観だけでなくサウンドへのこだわりもあれば、また違った印象だったのかもしれない。

 

6. Earnestly / URBANITY

どこかで聞いたことがあるようなイントロから、癖のある歌声が重なる。

この癖の強さを受け入れられるかどうか。

本作中では比較的最近のバンドに分類されるだけあって、楽曲構成やサウンドメイクなどは現代的。

ギミックとしてサンプリング音が使われているなど、面白い要素も見られるのだが。

 

7. WaS BorN ShiT / OUTЯAGE

ex-Cuartetの咲さんの、引退前最後のバンド。

激しく攻め立てる暴れ曲で、勢いは十分。

だが、ポップさと激しさの混在を掛け合いにより表現しようとしたサビの部分に、どうもぎこちなさが。

グロウルなどに近づけようとはせず、往年の発狂シャウトで突き進めば、もっと馴染んでいた気はする。

 

8. Regret / イクス

とにかくボーカルが苦しそう。

掛け合い風に入ってくるシャウトや、煽りを再現するようなパートでは元気なのだが、歌メロに入るとノイズが混じってカルト的に。

楽曲センスは10年前だが、実際に10年前にリリースした作品なので、そこはいたしかたなし。

良くも悪くも、ライブと音源での乖離が少なそう。

 

9. Dream Player / 和鶴

バンド名的に和風なサウンドを想像していたら、ラップや掛け合いをメインとして進行していくミクスチャーロック。

これは意表を突かれた形。

ある種、バンド名で損をするタイプのバンドだったのではなかろうか。

突き詰めれば面白くなりそうだが、韻の踏み方が雑な気も。

 

10. Strange road / DIGIT

ダンサブルなトランス風サウンドに驚かされる。

バンドサウンドである意義はそこまで感じないが、たまにラウドな雰囲気を出したりしてくるので、ダンスミュージックとV系サウンドの融合を目指していたのかな。

ただ、ダンスに吹っ切れている部分のほうが好み。

贅肉を削げば、結構ツボなものが出来上がりそうだったのだけれど。

 

11. The Day of judgement / Never ending ein schritt

世界観はしっかり作ってあって、あえての異質さを含んでいる楽曲。

無料配布作品だったこともあり、音質はそれなりだが、その中でこだわるべき部分はこだわっていた印象である。

メロディにも、垢抜け切れていないからこそのインパクトが。

詰め込みすぎて、消化しきれていない側面があるのは惜しい。

 

12. VORG / C'rock54

徐々にテンポが速くなっていくイントロは、どんな展開になっていくのかという期待感がある。

メロディにはあまり力を入れず、吐き捨てるように歌うタイプ。

エフェクトをかけてボーカルを潰していることもあり、歌モノが好きな人には刺さらなそう。

脱ヴィジュを図ったバンドが行きつきそうなミクスチャーロックというイメージか。

 

13. マスカレイド / D'uAl

和風の要素と、ダンサブルなサウンドが混ざり合う。

急にキャッチーでポップになって驚くが、サビで開けるダークナンバーを突き詰めたらこんな感じになったのかもしれない。

ここに入ると確かにカルト的な匂いもするが、もう少し煮詰めてからの音源を聴きたい気持ちも出てくる1曲。

 

14. 欲情ヒステリック / BUNNEIES

5年~6年前のバンドと考えれば、非常に王道的。

激しさを持ち込みつつ、サビでキャッチーにという展開はベタ中のベタで、インパクトがあるわけではないが、浮くこともない。

カルト味を感じるのは、全体的にくぐもった音質面だろう。

振り切れた楽曲が多い中、皮肉にもアクセントとして機能していた。

 

15. 朱音 / Die La'vice

わちゃわちゃしたイントロから、掛け合いのあるAメロに。

その勢いを保ちつつ、サビでは少し開け気味でメロディアス性も求める。

メロディのつけ方や、あまり高音を得意としないダーク系のボーカルスタイルが、なんとも古めかしさを感じさせる。

2006年の作品のようだけれど、楽曲としてはもう10年前と言われても違和感がないような。

 

16. traum /  涙 ~ルイ~

ここにきて、再び甘いポップロック

ただし、こちらは2004年の作品からのノミネートなので、試行錯誤の中でベタベタなポップスに寄せたバンドも数多くいた時期。

それ自体はカルトと呼ぶには弱いのだが、特徴のあるボーカルの声と、どこに正解があるのかが所々で行方不明になるメロディラインが実にカルト。

ボーカルの影に隠れがちだが、ギターも結構はちゃめちゃなフレーズを弾いていて面白い。

 

17. 再会を誓った空 / End;Re

シンセも上手く使って雰囲気を作った、メロディアスなナンバー。

ボーカルも相応に歌えていてカルト味は薄く、ここにいるのは可哀そうと取るか、飛び抜けて良く聴こえるからラッキーと取るか。

シャウトパートの唐突感と、最後の高音部分で、もっと力強く歌えていれば。

 

18. SALAD DAYS / Zipcy

サビのメロディはベタ中のベタで、そこからどうやって個性を出すのか・・・

なんて考えすぎた結果が、この危なっかしいアレンジになってしまったのだろうか。

ボーカルが外しているように聞こえるが、ボーカルラインはそこまで変じゃない。

むしろ、このバックだと、どの音程が正解なのかがわからないという状態なので、カルト要素の原因をボーカルだけに求めるのは酷か。

 

19. Cinderella Killer / EXEQUTE

途中で女声コーラスが入ってくるのだけれど、ボーカルとリズムがズレているのが気がかり。

もっとも、リズムのズレはこの部分だけではなく、全体的に怪しさはある。

最後のツタツタ部分は、スネアの音がスネアじゃないもののように聞こえてくるから不思議。

 

 

19曲の大ボリュームなので、使用法には注意しないと大事故になりそう。

実際に僕も、リビングで聴いていたら家族に怒鳴られたし、健康状態も少し悪化した気がする。

ただし、"じゃあ聴かなきゃいいじゃない"という声は不要であり、無粋の極り。

カルトV系愛好家にとっては、これをきっかけにそのバンドのCDを買う、ということが普通にあることなのだ。

中途半端にまとまって埋もれてしまうより、他のバンドでは体験できない圧倒的な個性。

好きなバンドがノミネートされていたらショックかもしれないが、そこはどうか、リスナーを増やすひとつの手段ということで、器を大きくかまえていただければ幸い。

 

ちなみに、"カルト"って言葉、凄く便利だなと思った。

これから、言いにくい言葉は"カルト"と置き換えて使うことにしよう。

 

むらかみさん、この間お会いしたとき、80枚ぐらいよくわからないバンドのCDを買っていらした。

これは間違いなくネタが溜まると思いますので、2018年バージョンも楽しみにしています。

 

「丘戦争に見るMCの重要性」

"丘戦争"こと「ANDROGYNOS」が終わった。

PIERROTとDIR EN GREYが2017年に対バンイベントを開催するというのだから、そりゃ盛り上がらないわけがない。

僕も行きたくて仕方がなくて、実際、知人からチケットを譲るよっていう話はいただいたりもしたのだが、7日は仕事、8日は娘の行事が重なっていたため、参戦することは叶わなかった。

(戦争に行くわけでもないのだからと、あえてライブに行くことを"参戦"とは言わないようにしているのだが、このイベントについては"参戦"が適切なのだと思う。)

 

待機組としては、情報を得る一番のツールはSNSだ。

これから雑誌やネットニュースの記事もあれこれ出てくるのだろうが、ファンの声がダイレクトで拡散されるSNS、要するにTwitterが世界最速であることは言うまでもない。

衣装やセットなど、権利上撮影できない部分についても、この規模のイベントであれば、再現イラストまで登場してくるから、行くところまで行ったなという気さえしてくる。

この点に関しては、リハ中や楽屋で撮った写真をアーティスト側がアップしてくれることも多くなり、Twitterだけでもそれなりの情報は得られるようになった。

 

さて、情報を集めていて、改めて認識したことがある。

それは、MCの重さだ。

セットリストがほとんど変わらない全国ツアーの真っ只中ならともかく、2日間だけのスペシャルイベントであれば、どれもこれもが新鮮で衝撃的でしかるべきだ。

なのに、Twitterに溢れているのは、キリトさんがこんなことを言っていたとか、京さんが珍しくたくさん喋ったとか、MCに関する内容が大半。

この曲の演奏がベストだったとか、あの演出が格好良かったとか、そういうライブの本編に関わるところよりも、繋ぎであるはずのMCにスポットライトが当たりやすいということなのだと思う。

 

誤解がないように断っておくが、バンギャルは音楽を聴いていないとか、自分の推しが何を喋ったかにしか興味がないとか、そんなことを言いたいわけではない。

TwitterにMCのレポートを呟いている人たちだって、思い入れのある曲を生で聴いて感動し、銀テープが舞う演出やオーディエンスの美しく揃ったフリにドキドキし、メンバーが高度なテクニックと激しいパフォーマンスを両立していて驚いたりしていたはずだ。

ただ、テンションが上がった状態で呟くTwitterでの速報文に、わざわざ「TAKEOさん、2曲目のBメロ部分で音源で聴いていた以上にオカズを入れていて、ただ叩き切るだけでも難解なのにアドリブを表情変えずに入れてくるの恐ろしい。」なんて普通は書かない。

こういうのは、備忘録として長文を書く癖がある人が冷静になってから書く内容。

行けなかった人に楽しさを伝えるにしても、自分用の記録にしても、速報ベースではMCを引用するのがもっとも効率的、かつ象徴的なのである。

 

そんなわけで、次があれば行きたい、映像化するなら見たいという気持ちは駆り立てられたのだが、演出面でどんなライブだったかはよくわからないまま。

それが悪いというわけではなく、そういうものだとして理解しなければいけないということだ。

MCが滑っていた、という内容だけが回ってきたからといって、ライブの完成度が低かったとは限らないし、MCが面白かった、というのはMC以外がパッとしなかったということかもしれない。

アーティスト側も、MCはその場限りだから適当でいいや、なんて思っていたら、適当なライブだったという印象で拡散されてしまう恐れあり。

SNS時代になって、MCは"その日来たお客さんしか知ることができない内緒話"ではなくなってしまったということを、ちゃんと認識する必要があるのではなかろうか。

 

そのうち、MCが面白くなければメジャーからは声がかからない、なんて都市伝説が生まれたりして。

もっとも「ANDROGYNOS」については、MCでの煽りも演出として一役買っていた様子。

この日のMCが良かったと呟いていた人たちは、ライブ全体が素晴らしかったとそのまま置き換えて問題ないのだろうな。

行かなかったことに後悔はないけれど、行けるものなら行きたかったものである。

「割らないで飲みたい」

梅酒を頼むと、水割りにするかソーダ割りにするかを聞かれる。

それでも、ストレート、またはロックと言えば、注文は通ってしまう。

 

一方で、カルピスだ。

カルピスを頼んでも、やっぱり水割りにするかソーダ割りにするかを聞かれる。

だが、ストレート、またはロックと言っても、注文は通らない。

 

僕はかなりの甘党で、10代の頃はドリンクバーでコーラにガムシロップを入れて飲んでいたほど。

カルピスは、原液に氷を入れたぐらい濃いのが至高と思っている。

それなのに、カルピス・ロックを出してくれる店は、ほとんどないのだ。

 

もちろん、それに腹を立てても仕方ないことは理解している。

仕入れた段階からカルピスウォーターとカルピスソーダなのかもしれないし、そもそも僕の味覚が少しズレているということは、さすがに受け入れざるを得ない。

この話を持ち出したのは、声高にカルピスを原液で出せと主張したいからではなく、過去にたったひとつだけ、カルピスを原液で出してくれた居酒屋にお礼を言いたいからだ。

 

もう5年以上前だろうか。

いつものように水で割るかソーダで割るかを聞かれたので、「ちなみに、カルピスをロックにできますか?」と尋ねてみたところ、なんと、そのまま注文が取ってしまった。

その後出てきたのは、テキーラのショット用のグラスに注がれた、カルピスの原液。

入れ物が小さいのは、水やソーダで割った場合に入る原液が、このぐらいの量だということなのだろう。

 

それなのに、僕は憤っていた。

僕はロックの注文をしたはずなのに、出てきたのはストレート。

氷が入っていないじゃないか、と。

単純に、僕が若かったのだ。

原液で出てきたこと自体、本来のサービスの範囲を超えているというのに。

 

僕の無礼に気付いたのは、他の居酒屋では、ロックはおろか、ストレートすら出してくれないという事実を知ってから。

時すでに遅し。

あのときサービスしてくれた店員は、既にお店から去っていた。

お礼も、謝罪も言えないまま。

おそらくあの店員がこの文章を見ることはないのだろうが、この場で、ありがとうを伝えたい。

無茶を言って申し訳ありませんでした、という言葉も添えて。

 

月日は流れ、またひとつ大人になった僕。

今では、もうカルピスをロックで注文することはない。

多くの場合、店員を困らせることになるとわかったから。

あと、あの量で450円ってちょっと割高だなって思ってしまったから。