天の川、スカイフィッシュの釣り堀にて

安眠妨害水族館では書かないこと、書けないこと

「真夏に聴きたいV系ナンバー5選」

かつて、安眠妨害水族館でテーマやモチーフに沿った楽曲紹介なんてコーナーを設けていたのだが、なんとなくこちらに移籍させようかと。

既に、"好きなジャケット"シリーズを書いてしまったこともあるし、今となってはこちらのブログのほうが馴染むかな、と考えて。

 

 

そんなわけで、連日30度超えの猛暑。

これはもう真夏に入ったでしょ、真夏認定で大丈夫でしょ、ということで、夏に聴きたいV系ナンバーを5曲ほど紹介していくことにする。

 

そもそも、V系と夏って、あまり交わらない世界線

1年のうち、半分ぐらい雪が降っていて、桜が散ったら、あっという間に夏が終わって秋が来るからIt's just the time to say good-bye。

夏と言えば、せいぜい花火大会に行って甘酸っぱい失恋をするぐらいで、海や山へはあまり繰り出さない、というのがヴィジュアル系の世界だ。

だからこそ、真夏の日差しをギラギラ浴びているような楽曲を並べることで、V系はオールシーズンに対応しているんだぞってことをアピールしていこうと思う。

 

 

Evergreen / Raphael

f:id:sakanagatoretaskytree:20180718223241j:plain

 

定番と言えば、この曲だろう。

青春感バリバリな歌詞に、リアルタイムでは賛否両論が巻き起こったものだが、今となってはそれもノスタルジックな想い出。

この楽曲の世界観の中に納まってしまい、結果、再評価されたナンバーと言えるのかな。

蝉の鳴き声でスタートし、蝉の鳴き声で終わるというギミックも、否が応でも夏感を駆り立てる。

それでいて蒸し暑さを感じないところが、10代のメンバーによる爽やかさといったところか。

 

 

Summer Day’s Drive / e.mu

f:id:sakanagatoretaskytree:20180718222704j:plain

 

GLAYSOPHIAなど、大衆にも評価を得たソフトヴィジュアル系バンドには、それなりに夏真っ盛りな楽曲が多いことに気付く。

だが、あえてソフビ枠からはe.muを推しておきたい。

ギラついた太陽と青い空。

ついでに、アスファルトの焼けるような匂い。

そんな情景が目に浮かぶようで、タイトル通りドライブ中に聴きたい1曲。

ハイトーンなボーカルも相まって、数あるソフビ夏チューンの中でも、爽快感が突き抜けていたのだもの。

 

 

夏恋 / シド

f:id:sakanagatoretaskytree:20180718224832j:plain

オフィシャルでMVを公開している夏ソングも欲しいな、と思ってこちらに。

灼熱の太陽感は薄れるし、やっぱり花火を見に行ってしまっているのだけれど、開放的な夏の気分が上手くパッケージされている。

当時の流行語を歌詞に織り込んでいるため、やや時代を感じてしまう部分もあるのだけれど、だからこそ、リアルタイムで聴いたときには瞬間的な気持ちの揺れ動きのリアリティがあって、衝撃を受けたものだ。

年齢層が高めの世代向けの夏曲というのも、ニッチで良いかと。

 

 

 

 

真夏のサマータイガー / サウイフモノ

f:id:sakanagatoretaskytree:20180718223332j:plain

 

パリピ感と結びつきやすい真夏のナンバーは、コミカルなバンドとの相性も良いらしい。

演奏シーンが一切ないMVでも注目を集めた、サウイフモノのシングル曲。

何故だか個人的にドハマりしてしまって、夏になると毎年聴いているので、異色枠ということでもなく、真っ先にセレクトしたのがこれだったりする。

このノリの良さは、野外フェスで聴いたら気持ちが良いのではないかと。

 

 

†夏☆大好き!ヴィジュアル系† / Jin-Machine

f:id:sakanagatoretaskytree:20180718223438j:plain

 

こちらもコミカル路線だけれど、ある種のメタ要素。

重なり合わない世界観であることを理解しつつ、あえて重ねるという賭けに出た1曲。

これをシングルにしてしまう勇気は感服するし、MVに時折出てくる夏を満喫するMana様のインパクトも物凄い。

サビで空気が一変するが、それまでの様式美的な展開が、案外格好良かったりするから侮れないのだ、歌詞はアレだけど。

 

 

ミスマッチのほうが面白いと考えて、今回セレクトするにあたり、夏の終わりの切なさや、ノスタルジックな回想は対象外とした。

そういうものを含めると、意外と夏に強いのは哀愁歌謡系。

ムックの「家路」しかり、ホタルの「たからもの。」しかり、カリメロの「カーニバル」に、heidi.の「夏一途」もそうだ。

また、ROUAGEの「肌色。」なんかも入れたかったが、これ、真夏というよりも初夏の曲なのだよね。

どうかなりそうなあつい夏がはじまるよハローハローハローハローハローハロー。

 

20年以上のV系の歴史を辿れば、シングル曲に限定しても5選なんて簡単にできてしまうわけだけれど、割合としてはやはり少ないな、と。

ダークでコテコテなバンドに、太陽の光は似合わないし、そりゃそうなるわ、といったところ。

まぁ、ヴィジュアル系の野外フェスが開催されたり、大手フェスにV系バンドが多く呼ばれるようになれば、もしかしたらこんな曲も増えてくるのかもしれないが。

その際、DIR EN GREYには「太陽の碧」を演奏してほしいものだけれど、いかがでしょう。

「ピッチが甘い」

随分前の話なのだけれど、質問箱にいただいたこの質問。

CDレビューを続けていれば、「音程を外しているのが残念」なんてことを書く機会も出てきてしまう。

ただし、この質問のとおり、その音程が正しいかどうかなんて、本当はメロディをつけた本人しかわからないものだ。

 

f:id:sakanagatoretaskytree:20180612161040j:plain

 

それでも、初めて聴いた楽曲なのに"音を外したな"と思ってしまうことは確かにある。

歌が下手な人とカラオケに行ったときに、"この曲は知らないけど、多分音を外してるのだろうな"と感じた経験は誰にでもあるだろう。

音楽的なあれこれを検証している、なんてことはなく、そんな感覚で書いているというのが実態だ。

一応、Twitter上では、「コードに対して音が合っていない(かつ必然性を感じない)」場合と回答している。

 

もちろん、実際は意図的なスケールアウトだったのかもしれないし、もしかしたらボーカルラインは正確なのにバックのフレーズが外しているという可能性がないわけでもない。

一方で、それを検証する術を我々リスナーは生憎持ち合わせていない。

それが聞き手側の理解不足だったとしても、"味になっていない"とか、"聴きにくさになっている"と感じてしまったのであれば、「音程を外しているのが残念」という言葉に置き換えるのがもっともわかりやすい感想であると割り切っているので、どうかご理解いただきたい。

 

ただ、自分が好きなアーティストが、意図的に王道ではないメロディを乗せていることについて、「音程を外しているのが残念」と言われてしまうもどかしさも僕は知っている。

中学生の頃からずっと聴いているHysteric Blueの「春~spring~」が、まさにその代表例だからだ。

サビの"こういう夢ならもう一度逢いたい"の「逢」の部分は、コード進行的には、"ファ"の音に上がるのがセオリーなのだが、正解はひとつ前の「度」と同じ高さの"ミ"。

作曲者のDr.楠瀬氏の強いこだわりなのだとか。

 

ところが、非公式の楽譜やオルゴールなどが、"ファ"の音を採用してしまうなど正しい音程が理解されず、テレビ等で歌うたびに「高音が伸びきっていない」と評価される憂き目にあっていると、Vo.Tamaさんが後にライブで語っている。

この質問者も、僕のレビューでそんな気持ちを味わったのなら、本当に申し訳ない。

気の利いたハズしととるか、セオリーどおりに歌ってくれないと気持ち悪いととるかは個人差があるので、どちらともとれるような場合は、ピッチについて言及するのを極力避けているつもりだし、aikoさんや奥田民生さんレベルの絶妙なハズしを入れてくれるのなら、むしろ、聴きどころとして紹介するのだけれど。

 

改めて頭の中を整理して、こんなことを考えた。

今まで音を外していると切り捨てていた楽曲たちも、それが意図があってのスケールアウトだったと捉えることで、聴こえ方が変わるのでは。

 

これだって、もしかしたら、そういうメロディをつけたのかもしれない。

気持ち悪さの表現として、あるいは、音楽理論を真っ向から否定するパンク精神で…

 

www.youtube.com

 

駄目だ…

何度聴いても、「音程を外しているのが残念」だ…

 

DAS:VASSERは好きだが、それとこれとは話は別。

やっぱり、感覚的にわかる"音を外した"はあると思うのよ。

逆に、これを「個性的な歌メロを乗せて、それを正しく歌いこなしている」なんて解釈したら、この頃のDAS:VASSERの粗削りな勢いを否定することにもなってしまうもの。

 

基準を決めて当てはめるのも、わかりやすさの観点では良いのかもしれない。

それでも、キッチリやるのがいいときもあれば、少し外して癖をつけるぐらいのほうがいいときもあるわけで。

それひっくるめてのセンスなのだから、結局は刺さるか刺さらないか。

音程がネックで僕にはしっくりこなかったな、と思えばそう書くし、率直に言って、それはアーティスト本人にとって正しいかどうかはあまり気にしていない。

なので、月並みな締めくくりになるが、これからも自然体で聴いて、自然体で書いていこうと思う。

 

「名前を覚える達成感」

前回の記事で、「な行」のタイトルをつけやすいお題をマシュマロに送ってほしい旨を書いたところ、ありがたいことに(偶然かもしれないけれど)こんな質問をいただいた。

 

f:id:sakanagatoretaskytree:20180526103058j:plain

 

ヴィジュアル系のバンド名にも流行り廃りはあって、近年の主流だったワンフレーズでのキャッチーさ重視傾向から、邦ロック界隈から流れてきた複数単語や文章の組み合わせに移行しつつあるのかな、と思うが、共通して言えるのは、その結果、いかに出し抜いてやろう、目立ってやろう、という意識が滲み出ていることである。

 

彩冷えるや愛狂います。には、"平仮名を読ませないってアリなの?"という衝撃があったし、メガマソ、えんそく、アクメなどは、"そんなバンド名でいいの?"なパワーワードとなって界隈を賑わせた。

ザアザア、kagrra,、蜉蝣などは、音楽性やバンドの在り方をたった一単語で表現した絶妙なネーミングであったし、ここまで来ると、AやMoreなどの、"それ検索に引っかからない茨の道だぞ!"というバンド名にも味わいが生まれてくる。

黎明期のバンドが、シンプルなバンド名を使い尽くしたというのももちろんあるのだろうが、フライヤーやCDショップの棚を眺めているだけでも楽しいのは、そんなバンドたちの創意工夫が端的に見られるからかもしれない。

 

さて、創意工夫の中で、読みにくさやバンド名の長さでインパクトを出そうとするバンドというのが一定数表れる。

”名前だけでも覚えて帰っていってくださいね"という定型句がある中で、覚えにくいバンド名なんてマーケティング的にはアウトなのかもしれないが、案外、やたら名前が長いバンドがいたと記憶に残りやすく、きちんと思い出すためにWEB検索をしたりしがち。

捉え方によっては、コアなファンを生み出すきっかけを作りやすいのかもしれない。

コレクターや知識人的ポジションも多いこのシーン、それらを覚えるのも一種のタスクであり、何も見ずにSNSにバンド名を打てるようになったときの妙な達成感は、体験した方ならわかるのではなかろうか。

 

近年のバンドで個人的に覚えるのに時間がかかったのは、NOCTURNAL BLOODLUST。

他ジャンルからの流入ということで、狙った覚えにくさではないのだろうが、長めの単語が2つ続くという、これまでのV系シーンに馴染みのない語感・響きは、なんだか新鮮だった。

Develop One's Facultiesも、そのひとつ。

長さで言うと、Black Gene For the Next Sceneも忘れてはいけない。

これらは、DOF、BFNと、略称がセットになっているので、キャッチーさを維持しながら、ギーク気質なファン心をくすぐる、ナイスなネーミングだ。

 

日本語・英語以外のバンド名もやはり覚えるのが難しく、だからこそ憶えたときの達成感はひとしお。

今では辞書なく書けるRentrer en Soiも、Deshabillzも、英語の感覚では音と綴りが一致しないので、はじめはスペルが合っているか何度も確認しないと不安だった。

もっとも、DeshabillzはDeshabille(デザビエ=部屋着)のスペルミスで、そもそもこの綴りでデザビエとは読まないという説もあるが、ここではそれ以上は触れないでおこう。

メジャーになりすぎて感覚が薄れているが、L'Arc〜en〜CielやLa'cryma Christiだって、覚えることができて嬉しかったという人は多いのではなかろうか。

 

彩冷えるアヤビエ)や愛狂います。(アイクル)の、"そもそもどうやったらそう読めるんだよ"系の原点は、Da'vidノ使徒:aL(ダビデシトアエル)だろう。

覚えたのが嬉しすぎて、どっぷりV系沼にハマるきっかけとなったバンドだ。

このお題が来たとき、ひたすらダビデについて語ってやろうと思ったのだが、既に1年前に実行済みだったから省略する。

モナリザ)や美流沙女(ビルシャナ)といった、当て字系のバンド名も、亜種になるだろうか。

正体不明と言われているモナリザに、(乳母)という字を当ててバンド名にしてしまう勇気、冷静に考えるととんでもないなと思う。

 

ダビデのカードを失った僕が、今回、名前を覚えて嬉しいバンド最優秀賞として紹介したいのは、Velze Dieulawahlだ。

ヴェルゼデュラヴァール。

まず読めない。そして、書けない。

耳で聞いても、口に出しても、まったくキャッチー性のないバンド名であり、テスト勉強のごとく、覚える気になって覚えないとなかなか習得できない難しさがあった。

だからこそ、覚えて嬉しいバンド名第1位として僕の中で定着して、セールス的に成功したとは言いにくい彼らを、17、8年もの間、覚えていられるのだから面白い。

 

ameblo.jp

余談になるが、"倖せの鐘が鳴り響き僕等は唯、哀しいフリをする。"というバンドがあった。

あったと言えるのかも微妙で、バンド結成が発表されたものの、正式に始動する前に解散となった、音楽の面では何の実績も残していないバンドだ。

それなのに、BLANKEY JET CITYのアルバム「幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする」から持ってきたと思われるバンド名は、その長さで話題になり、この記事を書くにあたり脳裏によぎるぐらいのインパクトは残している。

仮に同じブランキ―のアルバムでも「LOVE FLASH FEVER」をバンド名にしていたら、きっと解散した時点で僕の頭の中からは消え去っていたはず。

その意味でも、バンド名とは必ずしもキャッチーだから良いというものではないのかもしれないな。

 

 

ちなみに、名前を覚えた・言えただけで嬉しいアルバム名大会を開催したら、Merry Go Roundの「放送禁止の死んだふりをする潔癖症の実験体と、箱の中の毒入りショートケーキと、逆回転でまわるエゴイストのパラノイアボックス」と、Missalina Reiの「虹色した飴玉のもたらした幸福なひと達の生誕からその顛末まで」で競ると思うのだが、いかがでしょう。

長さで言えば前者だし、実際に達成感を得た人も多くて優勝しそうな気もするが、実は覚えきれていない人が多いのは後者で、真の達成感を求めるならそちらだとも思う。

 

いや、最近てんさいがリリースした「MARIA~禁断の呪われし堕天使の涙と共に繰り返す悲しきワルツと終わらないレクイエムに支配されし女王の亡骸に添えし一輪のたんぽぽ~」が食い込むかも。

僕はこちら、脳が老化して覚えることができそうもないので、残念ながら達成感は味わっていないのだけれど。